「特定空家等」とは?

「空家等」の定義については、以前の記事にまとめました。

こちらから。

今回は、その「空家等」からさらに絞り込んで定義される「特定空家等」について整理しておきたいと思います。

特定空家等って?

まずは基本となる「空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律127号))」に記載されている定義から。

(定義)第二条

この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

とあります。

この中に4つの状態が示されていることがわかるでしょうか?

「ガイドライン(「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(平成27年5月26日、国土交通省・総務省))」にこの文面が箇条書きに整理されています。

  • (イ)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
  • (ロ)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • (ハ)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • (ニ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

そして、空家等がこれらの状態にあるかどうか判断されることになり、この状態にあると判断されたものが「特定空家等」とされるのですが、「ガイドライン」の第2章には

「特定空家等」は将来の蓋然性を含む概念であり、必ずしも定量的な基準により一律に判断することはなじまない。

と書かれています。

言ってみれば、「それぞれの場所、状態、環境等に応じてケースバイケースで判断しましょうね!」ということだと解釈できますが…。

そして、続いて

「特定空家等に対する措置」を講ずるか否かについては、下記(1)を参考に「特定空家等」と認められる空家等に関し、下記(2)及び(3)に示す事項を勘案して、総合的に判断されるべきものである。

とされています。

下記(1)~(3)は、

  1. 「特定空家等」の判断の参考となる基準
  2. 周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるか否か
  3. 悪影響の程度と危険等の切迫性

と記載されています。

(1)「特定空家等」の判断の参考となる基準

ここに書いてある基準を「参考に」して判断することになるのですが…

空家等の物的状態が第1章1.の(イ)~(ニ)の各状態であるか否かの判断に際して参考となる基準について、〔別紙1〕~〔別紙4〕に示す。(「ガイドライン」より)

って、なんとまどろっこしい…。

結局、この〔別紙1〕~〔別紙4〕の内容が、物的状態に関する判断の「参考」となる、ある程度具体性のある基準になります。

この内容については、また別の記事でしっかりと確認していきたいと思います。

そして、この(1)を参考に物的状態に関して「特定空家等」と判断された空家等に関して、次のステップでさらに判断されます。

(2)周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるか否か

「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否か等により判断する。(「ガイドライン」より)

つまり、判断基準を一律にするのではなく、ケースバイケースでその状況等に応じて、悪影響が及ぶ範囲を適宜判断することにより、特定空家等を認定することになるのです。

例えば、建物が密集している地域であれば、空家等が倒壊することにより周辺や通行人等に被害が生じる可能性が高いため、「特定空家等」として認める必要性が高くなる、というものです。

仮に建築物が同じ劣化状況であっても、敷地の周辺状況に応じて「特定空家等」と認められるかどうかの差が生じる、ということです。

そして、

(3)悪影響の程度と危険等の切迫性

(2)に該当するような状況にあると判断された場合に、

その悪影響の程度が社会通念上許容される範囲を超えるか否か、またもたらされる危険等について切迫性が高いか否か等により判断する。その際の判断基準は一律とする必要はなく、気候条件等地域の実情に応じて、悪影響の程度や危険等の切迫性を適宜判断することとなる。(「ガイドライン」より)

とあります。

例えば、条例などで景観を保全している地域において、空家等の存在が景観を阻害しているような状態のような場合や、台風や雪の影響を受けやすい地域においては、他の地域では「特定空家等」と認められない状態であっても「特定空家等」として措置を講じる必要性が高くなる、といったものです。

 

以上のように、

(1)を参考に物的状態に関して「特定空家等」の判断を行う→(2)及び(3)により、その周辺状況に応じて必要性のあるなしを判断することにより、総合的に判断する。

という流れにより、「特定空家等」と認められることになります。

なぜ、こんなに「判断」に慎重なのか?

それは、周辺への影響だけでなく、所有者本人に対し、「特定空家等」を所有していることで様々な影響があるからです。

その影響についても、後日確認していきたいと思います。

※画像は参考画像です。「特定空家等」と認定を受けているものとは限りません。