空き家(空き店舗)を活用する際に、次のようなふたつの状況に出会うことがあります。
- 空き家(空き店舗)があるから、どうにか活用したい。
- これをやりたいから、この空き家(空き店舗)を使いたい。
1については、所有者からのアプローチになります。
空き家(空き店舗)をすでに所有しており、それをどうにか活用すること(誰かに貸すことも含め)を希望している場合です。
空き家の利活用希望の大半はこのケースです。
しかし、どのように使うかという具体性に欠けてしまいます。
2については、その場所で何らかの活動を行う際の「場」を作りたいという希望によるもので、主に利活用希望者(所有者以外)による場合です。
「こう使う」という具体的なビジョンがある場合が多いです。
「1」はどちらかというと、「誰かに使ってほしい」という受け身の利活用方法の検討といえます。
逆に「2」は「このようなことをやりたいために、それに適した場所を探している」という、使う人の能動性が見られます。
空き家などの既存建築物の活用が成功している事例の多くは「2」のようなケースが多いようです。
空き家について広く問題視されるようになり、利活用の事例も増えてきましたが、残念ながら数年でまた空き家に戻っているものも数多く見られます。
より持続する活用を目指すのであれば、所有者サイドの状況に対応するだけでなく、「2」のような「能動的活用」を後押しし、そのチャンスを増やす活動も重要です。
そのためには、その地域でしっかり成り立つビジネスの創生なども考えていく必要があります。
建築士・建築家はそのベースとなるハードの部分を作ることが主な仕事ですが、そこに至る「使われ方」のデザインも社会性のある重要な活動のひとつと考えています。