だれのための建物?~手遅れになる前に~

だれのための建物?

町並みの保存が活発に議論されるようになりました。

歴史的な建物が群となり形成する町並みは他にない魅力がありますし、地域の文化を記録・体験するものとして重要です。

一度失われてしまうと二度と取り戻せないものも多く、各地域で危機感をもって取り組まれています。

そのような町並みを残すため、町並みを形成する重要な建築物については積極的に活用しながら残していくという活動も見られるようになりました。

しかし、そこでいろいろ問題が生じていることも事実です。

個人のものか?公共のものか?

町並みを形成する要素となっている建物、または地域のシンボルとなっているような歴史的な建物は、その地域の重要な公共財産となっています。

しかし、その建物の所有者の多くは個人です。

建物を維持するためには、コストがかかります。

また、それを継続的に維持管理するためには、人の力が必要です。

では、だれがそれを行うのでしょう?

「価値のある建物だから、残してください!」

町並み保存を検討する場合、まず地域から声が上がり、それに「お墨付き」をいただくために外部の「先生」を呼ぶケースがあります。

客観的な価値を評価していただくためには重要な作業です。

しかし「価値のある建物」というお墨付きをもらってしまっては、簡単に修繕することすらできなくなってしまいます。

歴史的な景観を形成するような建築物は、改修にも相当な費用がかかります。

所有者にとっては大きな負担になります。

しかも、地域からは「あの先生がこう言っている。ぜひ『地域のために』残してほしい!」と熱く語られますが、「では、改修費や維持管理はだれがするのですか?」と所有者の立場だと当然このような疑問が生じます。

『地域のために』可能であれば残したい、利活用したい。という所有者もたくさんおられます。

しかし所有者にも地域にもお金がなく、どうすることもできない…。という結果になることも少なくないようです。

手遅れになる前に…所有する建物の価値の把握と未来の検討

このように公共性のある個人所有の建物の利活用を検討する場合、とても個人の所有者だけの能力では対応しきれない場合があります。

しかもその建物の多くは時間をかけて検討するような余裕もなく、結果としてやむを得ず解体撤去という場合も少なくありません。

そうなる前に建物の所有者や地域、そして行政など関係者間でしっかりと作戦会議を開き、どのような方向性を取るべきかまとめる必要があります。

そのためにも、まだ建物を使っている段階から所有者は「建物の終活」を行い、まずはどうあるべきか考えておくことが重要だと思います。

空き家になってしまってからでは、間に合いません。