どんな状態が「特定空家等」なの?その1

先日、「特定空家等」とは?という記事にて、特定空家等の定義についてまとめました。

こちらのページ:「特定空家等」とは?

その中で、「特定空家等」の判断の参考となる基準という内容が「ガイドライン(「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針)」に記載されていることをご紹介しました。

もう一度その部分を引用します。

空家等の物的状態が第1章1.の(イ)~(ニ)の各状態であるか否かの判断に際して参考となる基準について、〔別紙1〕~〔別紙4〕に示す。(「ガイドライン」より)

さて、ややこしいことに、「ここには書かないから、別紙をみてね!」と書いてあります…。

その別紙の内容こそがその判断基準の【参考】になっているということです。

この【参考】というのがミソです。あくまで【参考】ですので、その基準はいろんなケースでそれぞれ考えてください、ということになります。

 

では、具体的に別紙の内容について確認していきます。

「ガイドライン」に別紙として下記の4種類記載されています。

  • 〔別紙1〕「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準
  • 〔別紙2〕「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準
  • 〔別紙3〕「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準
  • 〔別紙4〕「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準

それぞれ比較的具体的に書かれている(それでもまだ抽象的ですが)内容ですので、まずひとつずつ確認していきます。

今回は〔別紙1〕「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準について。

〔別紙1〕「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準

ここでの内容は、建築物等が倒壊してしまうなど、敷地内だけでなく周辺環境へも物的な被害を与えるおそれがある状態について対象とされています。

まず初めに…

「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であることを判断する際は、以下の1.(1)若しくは(2)又は2.に掲げる状態(将来そのような状態になることが予見される場合を含む。)に該当するか否かにより判断する。

と書かれています。

これらのいずれかの状態にあるものが、検討されている状態にあると判断されることになります。

そしてその直後に…

以下に列挙したものは例示であることから、個別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断していく必要がある。

…まぁ、現場で判断してね。ということでしょうか…。

 

さて、ではそれぞれの基準を見ていきます。

1.建築物が著しく保安上危険となるおそれがある。

この中に小さな分類があります。

(1)建築物が倒壊等するおそれがある。

以下のイ又はロに該当するかどうか

イ 建築物の著しい傾斜

ロ 建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等

(2)屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがある。

 

まず先ほど、1.(1)もしくは(2)に該当するものが当該状態にあると判断されると確認しましたので、このいずれかに該当するかどうかをチェックする必要があります。

1.(1)建築物が倒壊等するおそれがある。 について

1.(1)イ:建築物の著しい傾斜 について

そこに書かれている参考基準は、

1/20超の傾斜が認められる傾斜があるかどうか

となっています。

2階以上の階のみが傾斜している場合も該当します。

基礎の不同沈下や柱の傾斜がその例になります。

次に

1.(1)ロ:建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等 について

これはさらに(イ)(ロ)のふたつに分類されています。

(イ)基礎及び土台
  • 基礎のひび割れが著しく、土台に大きなずれが生じ、上部構造を支える役目を果たさなくなっている箇所が「複数」生じている場合

  • 土台において木材に著しい腐食、損傷もしくは蟻害があること又は緊結金物に著しい腐食がある場合

これらが参考となる考え方として例示されていますが、かなりの損傷がある状態です。

そして

(ロ)柱、はり、筋かい、柱とはりの接合等

「複数」の筋かいに大きな亀裂や、「複数」の柱・はりにずれが発生しており、地震時に建築物に加わる「水平力」に対して安全性が懸念される場合

先ほどは基礎と土台についてでしたが、こちらは木構造の軸組に関する状態についてのチェックです。

 

(イ)(ロ)どちらもですが、該当箇所が「複数」というのがポイントです。

かなりの損傷が認められる状況です。

 

では続いて

1.(2)屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがある。 について

これは対象として(イ)~(ホ)の5つに分類されています。

(イ)屋根ふき材、ひさし又は軒

全部又は一部において不陸、剥離、破損又は脱落があるかどうかなどを判断しますが、その例として、屋根の変形、屋根ふき材の剥離、垂木などの損傷、軒の垂れ下がり、雨樋の垂れ下がりなどが挙げられています。

目視で確認できるようなケースが該当となります。

(ロ)外壁

全部又は一部において剥離、破損又は脱落が発生しているかどうかが基準になります。

例として、壁体を貫通する穴の発生、外壁仕上材が剥離、腐朽又は破損し下地が露出しているか否か、外装材の「浮き」の発生等を目視で確認できる場合が該当となります。

(ハ)看板、給湯設備、屋上水槽等

表題のような建築物に附属するものに対し、転倒しているかどうか、剥離、破損又は脱落が発生しているかどうか、指示部分の接合状況などが判断基準になります。

これらが目視で確認できる場合、該当となります。

建築物本体でないところがポイントです。

(ニ)屋外階段又はバルコニー

全部又は一部において腐食、破損又は脱落が発生しているか否か、傾斜が見られるか等が基準になります。

これらが目視で確認できる場合が該当となります。

(ホ)門又は塀

全部又は一部においてひび割れや破損が発生しているか否か、傾斜が見られるか等が基準になります。

目視でこれらが確認できる場合、該当となります。

 

この(2)は、建築物だけでなくそれに附属する看板や門、塀にもチェックが入ることが重要です。

 

最後に

2.擁壁が老朽化し危険となる恐れがある。

についてチェックします。

建築物本体ではなく、「擁壁」というのが大きなポイントです。

具体的な項目として、

  • 擁壁表面に水がしみ出し、流出している。
  • 水抜き穴の詰まりが生じている。
  • ひび割れが発生している。

などのチェックがあり、これらが確認できるものが危険な状態として該当すると判断されます。

 

以上より、この〔別紙1〕では、保安上危険な状況にあるかどうかの判断として、まず

「1.建築物」「2.擁壁」

についてチェックされます。

どちらも、ではなく、どちらかです。

建築物については、細かい分類として

  • 建築物の倒壊等するおそれがあるかのチェック
  • 屋根、外壁等(看板、門、塀等も)が脱落、飛散等するおそれがあるかのチェック

があり、これらのいずれかに該当するものは保安上危険となるおそれがある状態と判断されます。

 

いずれの場合も、あくまでも【参考】となる基準ですから、個別の事案に応じて適切に判断することが求められています。

非常に抽象的な内容ですが、空家等の所有者にとって、どのような状況が「特定空家等」と判断されるのかを知ることができる重要な情報だと思います。

このような状況になる前に何らかの方策を立てることが、所有者にとっても、地域にとっても重要ですね。

 

次は〔別紙2〕「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準について確認していく予定です。

※画像は参考画像です。「特定空家等」と認定を受けているものとは限りません。