「何もない」ところでの空き家対策は?
よく「うちの地域には、何もないからなぁ。」とか「こんなところで何ができるんだ?」などと地域に長年お住いのかたからお話を聞くことがあります。
そして、そのような場所にも空き家は身近な問題になってきています。
倒壊の恐れがあるもの、防犯上・景観上悪影響を及ぼす恐れのあるものなど、次第にその数も多くなっており、個人の問題だけでなく地域の問題として認識されるようになってきました。
観光地などでは商業利用目的で多くの空き家が活用されている事例も見られるようになりましたが、このような全国いろんな場所にある生活の場での活用はまだまだ活発とは言えないようです。
しかし、このまま時が過ぎ、空き家が朽ち果てていく姿を黙って見ているわけにはいきません。
その危機感を持っている地域も多くなってきました。
では、どのように取り組み始めたらいいのか?
空き家単体を対象にピンポイントで活用を始めるのもひとつの手段かもしれません。
観光地・商業地であれば「点」としてそのような「しかけ」を打っていくことも可能でしょう。
しかし、「何もない」ところではその方法は異なります。
人を集める装置としての活用ではなく、地域の「ツール」としての活用を考える。
そして地域外の人たちだけを対象にするのではなく、地域にお住いの皆さんのための活用も考える必要があります。
そのためには、地域の現状を知ることがまず大切になります。
地域で長年生活していると、地域にある他にない魅力や文化に気が付かなくなってしまう。
このことはよく言われることですが、では実際どのようにその魅力に気が付くことができるのでしょう?
やはり、「外からの目」「世代の違う目」が必要になってきます。
「何もない」ところで空き家の活用を考える場合、「点」のしかけからではなく、まず地域の「面」を考え、全体の方向性を地域で共有するところから始めることが大切です。
空き家問題以外にも地域には様々な課題があります。
そのような課題の解決方法の「ツール」として空き家を活用できる方法があれば、緊迫する地域課題の解決に対し効果的な糸口が見つかる可能性があります。
そのきっかけを「外からの目」「世代の違う目」で見てもらうことにより、作っていくことが有効ではないでしょうか。
昨年(2016)行われた「浅口市寄島町国頭地区空き家活用まちづくりPROJECT」では、まずは学生たちに地域にある様々な魅力を掘り起こしてもらい、地域に対して「気付き」を得てもらうことを目的としました。
同時に、空き家問題をポジティブに転換できる提案を行ってもらいました。
まず、地域の「面」を考えるきっかけづくりを行った、という実例になります。
今後はその気付きから具体的な活用について検討する時期になります。
このように段階的に、かつ戦略的に「面」を意識して考えていくことが「何もない」ところでの空き家対策方法だと思います。