岡山県地域文化財建造物専門家(ヘリテージマネージャー)養成講習会:第8回:伝統的木造工法 技法・構法

※今後の参考にするため、当事務所設立前に参加した「ヘリテージマネージャー」の講習会についての記事を転載します。

 

10/26(土)、岡山市のオレンジホールにて講習会がありました。

島村先生による木構造の実験と講義です。

 

まず始めに恩徳寺鐘楼の1/2スケールの模型を組み立てる作業です。

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忠実に再現された木材のパーツを順序に沿って実際組んでいきます。

残念ながら写真を撮影していないのですが、最後に鐘の代わりにブランコを吊り下げ、実際人が乗ってみます。

びくともしません。ゆすってもしっかりしていました。

これで貫構造がいかにしっかりした構造であるか、実験で確かめることができました。

貫を入れる位置によっても強度が変わることも教えていただき、伝統工法がいかに合理的にできているかよくわかる実験でした。

 

そして、次に角材の破壊実験による限界強度の計算です。

実際36㎜角のパイン材を単純梁にして、その上に人が乗り、木材の強度を計算します。

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私も梁の上に乗らせていただきました。

大人が3人乗って、スパンが160cmの時点で破壊しました。

計算するとこの木材の曲げによる最大縁端応力度は1195kg/㎠と計算されました。

実験によると大体600~1200に結果が分布するそうですが、この結果は計算上一般的に扱われている数値より大きく出ており、実際はかなり強度があるということが解ります。

折れるときの感覚を実際体験したほうがよい、と先生もおっしゃっていましたが、私も体験させていただき、その感覚を味わいました。

たわんで沈み込む感覚など、やってみないとわからないことってありますね。

 

午後からの実験ひとつめは、ホゾ接合の回転剛性の実験です。

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先生自ら作成された実験装置です。

片持ち梁に荷重をかけた際、木材をかみ合わせた部分にどのような変化が生じるかの実験です。

梁の方がやわらかい材料ですので、梁側にめり込みが生じます。

材のどの場所にどのようなめり込みが生じているか、実際見ることで良くわかりました。

 

最後の実験は、接合部が緩んだラーメン架構の模型に振動を与えた場合の減衰です。

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ふたつの同じ二層建物の模型がありますが、片方は柱頭柱脚を接着剤で固定した剛接合を想定。

もうひとつは柱頭柱脚の穴をゆるくしてかつ接着していないという、いわばほぞが緩んだ状態の模型です。

間にあるおもりを揺らして、共振をおこさせることでどのような揺れになるかをみる実験です。

非常に興味深い結果でした。

柱頭柱脚を固めたほうは共振して揺れだします。

ところが、緩いほうはほとんど揺れません。

緩いほうは「塑性状態」のものに加振したモデルで、つまり、伝統建築物などでホゾが緩んだ状態で振動を与えた時の揺れを再現したものですが、一般的にがっちり固めてしまう方が強いという概念を覆される結果です。

ほぞが緩むことで振動数が変わることが、揺れにくくなっている理由と考えられる、と教えていただきました(詳しく書くと結構ややこしめです…)。

 

非常に興味深い実験と解りやすい解説で大変勉強になりました。

大学などでは実はあまり木構造を扱っていません(学校によって違うでしょうが)。

こういう面白い実験を通じて、もっと私たちに身近な木構造を勉強する機会があれば、建築を見る目も変わってくるのかな?と思いました。

 

構造って面白いな!

そう感じさせてくれた講習会でした。