岡山県地域文化財建造物専門家(ヘリテージマネージャー)養成講習会:第10回:地域における文化財建造物の保存・活用等

※今後の参考にするため、当事務所設立前に参加した「ヘリテージマネージャー」の講習会についての記事を転載します。

 

11/23、岡山県生涯学習センターにて講習会が行われました。

今回は午前午後共に講義です。

よって、写真、なしです(^_^;)

 

午前中はノートルダム清心女子大学の上田先生による「地域における文化財建造物の保存・活用」についての講義でした。

先生のご研究を中心に、岡山県における擬洋風建築の歴史的な展開を講義していただきました。

なぜ、擬洋風建築が生まれたか、どのように地域に広まっていったかを歴史的に紹介していただきました。

 

そして、岡山県で建築を見るために欠かせない二人の建築家について詳しく教えていただきました。

まずは、薬師寺主計という建築家です。

詳しくはこちらあたりで。

薬師寺主計:wikipedia

他にもさまざまな情報がネット上にはありますが、正直言って私は岡山に帰るまではその存在すら知りませんでした(勉強不足ですね)。

というのも、大学など、特に県外の学校では地域に根差している建築家についてはほとんど紹介されることがありません。

地域に対して偉大な貢献をしたことは事実なのですが、地域でしか評価がされにくいという大変残念な状況です。

薬師寺主計という建築家は、特に倉敷では欠かすことのできない建築家です。

大原孫三郎という先見の明がある偉大なパトロンの元、忠実な施行者と言われる藤木正一と共に倉敷の街並みを作っていったと教えていただきました。

 

もう一人は以前講習会で行った「旭東幼稚園」の設計者である、江川三郎八という建築家です。

 

福島出身の元大工さんですが、その腕を買われ、福島県の技手となり、岡山県議事堂建設のため来岡。

その後特有な外観を持つ擬洋風建築を県内に設計しておられます。

かなりの数があるようですが、まだ確定していない建物もあり、調査されているようです。

なんと!私の母校の記念講堂も江川三郎八の設計によるものです。

在学中はなーんにも考えずに通り過ぎていましたが、今思えば、もったいない…。

もっとしっかり見ておけばよかった、と思います。

 

そしてこれらの建築家の貢献を基に、なぜ建築の保存が必要なのかを教えていただきました。

地域に根差した建築家。

決して全国的に有名ではないかもしれませんが、その貢献は地域の「財産」として後世に伝えていくべきものだと思いました。

 

午後からは岡山県教育庁文化財課の尾上先生による「岡山県の文化財と保護措置」について講義をしていただきました。

まず、文化財の体系を解りやすい図で説明していただきました。

我々が今まで勉強してきた「建造物」や「伝統的建造物群」が文化財という枠の中でどの位置にあるのか、また他にどのようなものが文化財であるのか、よくわかりました。

そして、岡山県の国宝・重要文化財(建造物)の指定についてご紹介いただきました。

平成25年11月時点で、指定件数は全国10位であるとのことです。

意外と多いな、というのが率直な感想です。

そして「ふるさと文化財の森」という文化庁の事業を紹介していただきました。

「ふるさと文化財の森」

国宝や重要文化財などの文化財建造物を修理し,後世に伝えていくためには,木材や檜皮,茅,漆などの資材の確保と,これらの資材に関する技能者を育成することが必要です。このため,文化庁では,文化財建造物の保存に必要な資材の供給林及び研修林となる「ふるさと文化財の森」の設定,資材採取等の研修,普及啓発事業を行う「ふるさと文化財の森システム推進事業」を実施しています。

ここの設定地一覧を見ると、なんと岡山県は件数で1位です。

建造物の維持管理には欠かせない材料ばかりで、その生産の多くを県内で行っているという事実。

しっかり歴史的な建造物を維持管理する体制があるということを知りました。

 

その後、県内の様々な文化財をスライドで紹介していただきました。

古墳なども含め、見ているだけで本当に面白かったです。

ジャンルを問わず、県内の文化財を見て回るだけでひとつの大きなツアーになりそうです。

 

文化財という切り口で地域を見ることにより、そのすばらしさ(技術的・芸術的・歴史文化的背景等)と先人の偉大な貢献に敬意を払い、それを後世に伝えていく大切さを教えていただいた講習会でした。