明日は我が身!の空き家問題(新築が空き家を作る)

今住んでいる家が、空き家になってしまう?!

普段生活していると、空き家問題が身近なものだと感じることはあまりありません。

「今はまだ大丈夫だろう。」「その時になったら考えよう。」という問題を先送りしてしまう気持ちがどうやら我々には多いようです。

子世帯の新築を計画しているときが、実は…

特に「新しく家を建てよう!」という場面では、この傾向が顕著に現れてしまうようです。

まさか、その結果が空き家を持ってしまうことにつながるとは想像すらできないですし、気になったとしても「蓋をしてしまう」のです。

子どもたちが別の場所に戸建て住宅を建てる

大きな日本家屋を所有の親世帯。

子どもたちはそれぞれ世帯を持ち、まずは同居せず近くにアパートを借りて生活していました。

ある時、少し離れた場所にある親の所有する土地に戸建て住宅を持つ話が出ました。

「気を使わなくて済むように」「スープが冷めない距離で」と子世帯が別の場所に住宅を持つことは地方ではよくある話です。

親世帯も子世帯も、新しい住まいが完成することを喜びました。

その後、他の兄弟も仕事の都合などで別の場所に住まいを作りました。

その結果…親がなくなってしまう、介護施設に入所するなどにより、その「実家」は空き家になってしまいました。

売却などが可能であればよいのですが、そのような条件の良い物件ばかりではなく、その場合子世帯はその家と土地の管理と税金の支払いをずっと背負っていくことになります。

夢をもって住まいづくりを親子で楽しんだあの時に、このような状況を想像できたでしょうか…。

隣の敷地に子世帯の住宅を別に建てる

親世帯の住まいに子世帯が同居していました。

子世帯の子どもが小さい時には十分な広さでしたが、その子どもが成長し中学生になりました。

ある時「部屋がほしい」と子どもから言われ、住まいについて考えることになりました。

今の敷地は手狭なため、隣接する土地を宅地にし、そこに新しく住まいを計画することになりました。

増築も検討しましたが、やはりここでも「気を使わなくて済むように」と世帯を分けて別棟を計画することに。

親世帯が元気なうちはお互いあまり干渉することもなく生活を送ることができましたが…

いつまでも親は元気ではありません。

歳を重ね、やがて親世帯の建物は主を失いました。

隣の土地だから使えるだろう、と考えていましたが、自分の住まいだけでなくもう一つの建物を管理することは結構な労力です。

やがて建物も老朽化。メンテナンスだけでも大変な費用です。

当然税金も支払わなくてはいけません。

子世帯に残ったのは、隣接する空き家だったのです。

「隣だから、どうにかなるだろう」と問題を軽視してしまったのです。

新しく作ること=空き家を作ること

上記以外にも、新築が空き家の発生につながっているケースは多々あります。

日本において、人口が増えていく傾向があった時代には、住宅を作ることは非常に重要、かつ効果的に経済効果をもたらすことにつながりました。

ところが今はそうではありません。

建て替えならともかく、新しい土地に新しく建物を作ることは、どこかで使われなくなる建物、すなわち空き家が生まれてしまっていることにつながっているのが現状です。

我々建築士や建築家と呼ばれる立場ではまず作ることを考える傾向にありますが、その時こそ施主さんと今後生じるであろう状況をしっかりと見据えて、本当に新しく建てることが良いことなのかを吟味する必要があります。

新しく作ろう!と思った時こそ、空き家問題を考えて!

空き家問題は大変複雑で、必ずしも新築が空き家の発生につながるのではありませんが、幸せで夢がある新築を考えるときこそ是非いずれ来るであろう将来の状況を冷静に考えるべきだと思います。

土地や建物を所有する人すべてが空き家問題と隣り合わせの状況にあり、「明日は我が身!」と身近な問題として意識することで空き家の発生を少しでも抑えることができると思います。

そのためにも、しっかりと建物の「生涯」を考えていく「建物の終活」が重要になってくるのではないでしょうか。