寿司割烹 郷味

小川を挟んだ心地よい街路に面する空き家の再生工事。

かつては商店が並び、お寺にお参りする人々や学生などで賑わっていたこの近辺ですが、現在では人通りも少なく、空き家が増加し、雰囲気は激変してしまったと工事中も近隣の方々からお話を伺いました。

時代の流れの中で変わっていくこの状況に対し、少しでも町並みの記憶を残しながら活性化できればという店主の思いを聞き、町の人たちが気軽に立ち寄って食事を楽しむ空間に再生する計画が始まりました。

最初の現場調査の後、着工までの間にも近隣の老朽化した建築物が解体されました。

町並みの様子は変わりますが、全ての建築物を再生・利活用できるとは限りません。

それぞれの事情の中の判断により、町並みは時代に応じて変化していくものと捉えています。

健全な状況とは言えなかったこの建物の状況を調査し、1階部分を飲食店として再生する計画になりました。

構造の補強を行い、飲食店に必要な設備などの機能を新設しましたが、外壁の焼杉板仕上など町並みに面する部分は極力変更せず、心地よい街路を散策する人たちへの体験を残すことを考えました。

内部空間も居心地の良さを重視するため過剰なデザインを行わず、既存の柱などの要素を残しながら素直な空間操作を行いました。

オープンの日には多くの人が来店し、この場所に新しい町の「機能」が生まれたことを喜んでいるとお話しいただきました。

美味しい料理の評判も良く、その後も多くの人たちがこの場を訪れています。

変化していく町並みに対しては、ひとつの点の変化かもしれませんが、それをつなぐ人たちによって今後この町並みが活性化していくことを期待しています。